個人事業主やフリーランスとして利益が出た時の節税策として代表的なのが401k(確定拠出年金)、国民年金基金、小規模企業共済の3つがあります。いずれも掛け金が全額所得控除されることになるため、所得税や住民税の節税効果が高いです。それぞれでメリット、デメリットがありますので、個人事業主、フリーランスがどれを採用するべきか、それぞれを比較していきます。
共通するメリット、デメリット
まずは、これら3つの節税策に共通するメリットとデメリットをまとめます。
メリット
・節税効果が高い(全額所得控除)
・それぞれ運用益が得られる
デメリット
・簡単に現金化することができない(原則老後まで)
401k(個人向け確定拠出年金)
自分で掛け金を拠出し、その上でその資金を投資信託や定期預金などで運用を指示します。将来的なリターンはあなたの運用成績によって変わってきます。
メリット
・掛け金が自分で運用できる
・個人単位の勘定なので年金が破綻することが無い
・掛け金は比較的容易に変更できる
・運用益が非課税なので投資の複利効果が高い
・事業に失敗して借金を抱えても年金資産は保護される
デメリット
・自分で決めた運用が失敗する可能性もある
・年金なので老後まで解約できない
もしも、老後の為の運用として証券会社などで投資信託の積立などをしている人は401kで運用する方が大きく有利です。詳しく知りたい方は「個人型確定拠出年金のメリット・デメリット」も御覧ください。
国民年金基金
自営業者・フリーランスが加入する国民年金に上乗せするタイプの年金となります。
メリット
・確定給付なので元本割れのリスクは無い
・事業に失敗して借金を抱えても年金資産は保護される
デメリット
・途中解約は不可
・国民年金基金としての健全性が問題視されている
国民年金基金は確定給付です。過去の加入者に対してはかなり高い予定利率を約束しているため、現在は積み立て不足に陥っています。そのため、制度の持続性について疑問が出ているのは事実です。
この問題が解決するために将来的に商品設計の見直しがなどが行われる可能性はあります。
「国民年金基金とそのメリット、デメリット」などにも書かれていますが、個人的には現在の状況だと加入をおすすめできません。
小規模企業共済
個人事業主や小規模企業の経営者が加入できる共済制度です。廃業した時や65歳以上になった時に給付を受けることができます。自己都合での解約は20年未満の場合はペナルティがありますが、掛け金残高の一定の範囲内で融資が受けられるなど資金繰り上のメリットもあります。
メリット
・確定給付なので元本割れリスクはない(ただし、1年未満の死亡、20年未満の自己都合での解約等の場合は元本割れします)。
・拠出金の残高の範囲内で融資が受けられる
・受け取る時は「退職所得」として税優遇が受けられる
デメリット
・予定利率は1%(2015年10月)と高くない
・年金資産じゃないので自己破産したら資産は無くなる
制度としては個人事業主向けの共済ということもあって使いやすくなっています。特に拠出金の範囲内で融資が受けられるというのは資金繰りが問題化した時には大変役立つものだと思われます。
基本的には自分で積み立てる「退職金」という感覚がピッタリの商品です。制度の加入条件などは「中小機構ホームページ」をご覧ください。