キャッシュレス社会を国が標榜しながらも、それを達成できないのは事業者にとって、それを導入するインセンティブが小さすぎるからだと思いますよ。
キャッシュレス先進国の韓国は国による支援があり、中国の場合は独占企業による囲い込みでそれが達成できているわけです。
最近はようやくというか、やっと決済コストが安いSquareとかのモバイル決済も登場しましたが、まだまだ誰もが手軽に導入できるとは言えないでしょう。
クレジットカード決済導入は敷居が高い
これまで個人の飲食業の場合、クレジットカードの手数料は5%以上が当たり前でした。薄利多売のビジネスをやっているところからすると、カードで決済されるだけで5%も持っていかれるのは厳しいところでしょう。
かといって、手数料を顧客に転嫁するのはカード規約違反です。
さらに決済に必要な機械代金も必要になりますし、固定のネット回線も必要と言うのが一般的なシステムです。
モバイル決済の登場でキャッシュレスも導入しやすく
一方で、モバイル決済サービスが登場して世の中の流れは少しずつ変わってきています。
Squareや楽天ペイのように、これまでと比較して安い決済手数料や導入コストはこれまでのカード決済システム導入と比較して素晴らしい内容になっています。
専用端末もキャンペーンを使えば無料だし、回線もスマートフォンの通信を使うので別途用意する必要はないです。そういった意味で導入はしやすくなっています。


昔と比べれば 。
でも、キャッシュレス先進国はもっと先を進んでいる?
韓国や中国はすごいです。
2015年時点で、韓国は89.1%、中国は60%がキャッシュレス決済となっています。中国に関してはその後のアリペイなどの躍進を見ると、中国の現時点の決済比率は下手したら90%近いかもしれませんね。
翻って、日本は増えてきてはいるものの18.4%。ブランドデビットカードや電子マネー、ポイント払いなども増えているので今は20%を超えているとは思いますがその程度です。
韓国のキャッシュレス施策
すごいです。クレジットカード業界と癒着してるんじゃねーのって疑いたくなるレベル。日本が同じシステム導入したら、オリコとかジャックスとか株暴騰するんじゃないの?
- 年間30万円を上限としたカード利用の所得控除
- 宝くじの権利を付与
つまり、カードで買い物をしたら30万円×税率分だけ税金が安くなるってこと。仮に税率が30%だとすれば、ポイント還元率(税金還元率)が30%ってことになるわけです。
参考:所得控除のしくみ
さらに、1,000円以上利用で毎月行われる当選金1億8千万円の宝くじ参加権の付与を行っています。
そりゃ、クレジットカード払い増えるわ。ここまでやれば、事業者はカードを導入しないと間違いなく顧客を奪われるので、導入しますわな。
中国のキャッシュレス施策
中国の場合は、最近になるまで決済システムが不完全だった中に「銀聯」による統一決済システムや、アリペイなどのスマホと連動した生活アプリの爆発的普及によるところが大きいですね。
銀聯は、VisaやMasterCard、JCBのような決済の国際ブランドです。
銀聯は、中国国内の加盟店手数料を業種によって区分している。業種区分としては、「不動産・自動車販売・卸売等」、「飲食店、百貨店、一般小売等」、「スーパー、光熱費、ガソリンスタンド、交通等」、「医療、教育、社会福祉、介護等」に分けられており、業種区分に応じた加盟店手数料は、社会インフラとしての役割を担う医療、教育、社会福祉、介護等では0%であり、その他の業種においても最高で0.55%に設定されている。
うらやましすぎますね。最高0.55%ですよ。はぁ。
QRコード決済のアリペイについても、同様です。アリペイは生活アプリとして中国の生活に密着しており、金融、ソーシャル、生活と幅広く連携しているので、決済手数料で儲けなくても、別で儲けることができちゃうわけです。
フリーランスや個人事業主として日本で仕事をする上では、だから何?って話になるわけですが、少なくとも、日本の事業者(特に中小の飲食店など)でキャッシュレスが普及しないのは、理由もあるわけです。
韓国や中国がすごいのは、普及しただけの背景があるわけで、二五本でもキャッシュレス社会を志向するのであれば、それなりのインセンティブを設定してもらわないと難しいのではないかと思います。