倒産防止共済は個人事業主・フリーランスにとっては損な制度?

倒産防止共済(経営セーフティ共済)というのは、中小企業・事業主の連鎖倒産を防止するための共済です。掛け金を払っておけば、万が一取引先の倒産によって売掛金があればその分について掛け金の総額に応じて融資を受けられるという制度です。

ただ、それだけじゃなくて掛け金の全額が「損金」として認められており、支払のタイミングもかなり任意に決めることができるので節税対策としても魅力です。

その一方で所得が安定している人にとっては状況によっては不利になることもあります。今回は振りらーんすや個人事業主にとっての倒産防止共済のメリット、デメリットをまとめていきます。

どう活用できるのか?

倒産防止共済は年間240万円まで、トータルで800万円までを拠出することができる共済制度です。
この掛け金は全額が損金にできます。

そして任意のタイミングで「解約」することができるようになっています。

 

利益が出過ぎた年末に利益調整

利益調整として使えます。
個人事業主の場合、1月~12月までの所得で税金が変わります。
仮に年間で500万円の利益が出たという場合、500万円に税率をかけて税金が決まってきます。

日本の所得税は累進税率をとっているので所得が高くなればなるほど税率が上がります。

たとえば年間330万円以下の所得分の税率は10%ですが、330万円超に対しては20%の税率がかかります(最高45%)

仮に500万円の所得がある人は57.25万円の所得税が発生します。(実質税率11.45%)

ところが、500万円の所得があるときに倒産防止共済に170万円を拠出したとします。すると年間の所得を330万円にまで圧縮することができます。この場合の所得税は23.25万円の所得税となります。(実質税率は7.04%)

このように年末に倒産防止共済を利用して所得を調整することで所得税の税率区分を抑えることで大きな節税効果を生みだすことができます。

これは個人事業主・フリーランスのメリットといえます。法人の場合は基本的に税率は一定なので税率差を利用した節税まではできません。

 

拠出したお金は40カ月たてばいつでも100%でおろせる

掛け金は40カ月(3年4カ月)たてばいつでも預けている金額を100%の額面で解約することができます。

ちなみに、一部だけを解約することはできずに解約時は全額をまとめて解約する必要があります。そのため、基本的には多額の支払(損金)が発生したタイミングで解約するというのが最も効果的になります。

 

前払いをすれば0.5%分が戻ってくる

倒産防止共済は預けている部分に対して利息は付きませんが、前払いで1年分を一括納付した場合、掛け金の0.5%が割引されます。
仮に上限の20万円×12カ月=240万円を前納した場合には12000円が割引(還付)されることになります。

定期預金で0.5%付くというようなものもすくない現状、これも地味にお得なワザとなっています。

 

倒産防止共済を使うと損になる人もいる

倒産防止共済は「掛け金」として払う時は全額損金にできますが、「解約金」を受け取った時は全額が益金(所得)になります。

そのため、下手に利益が沢山出ているタイミングで解約するとかなりの高所得となってしまい逆に税金を多く払う羽目になるかもしれません。

たとえば、コンスタントに500万円の所得がある人が年170万円ずつ倒産防止共済の掛け金を支払ったします。4年後には680万円の掛け金が貯まっていることになります。

仮にこのタイミングで解約すると年間の所得が500万円+680万円(解約金)となってしまい合計1180万円となります。この時に必要になる税金(所得税)は235.8万円

解約しない時の税金は57.25万円ですから差額として178.55万円も多く税金を払う必要があります。一方の4年間で節税できたのは34万円×4年の136万円なので、42.55万円も余分に税金を払うことになります。

所得が将来的に変わらない人は倒産防止共済を使うことで逆に損をすることになりかねません。

企業(法人)の場合は、退職金支払いのタイミングに合わせることでまとまった損金と解約金とを相殺することもできますが、個人事業主・フリーランスの場合はまとまった損金が発生しない場合もありますので、設備投資や多額の償却資産などが生まれる余地が無いようなビジネスをしているような方にとっては倒産防止共済を利用するメリットは小さいです。

まとまった損金をつくることができるか(作る機会があるか)が一つの大きな境目になる制度です。

参考:節税効果の高い経営セーフティー共済( 倒産防止共済 )のメリット・デメリット